お礼

 

  令和5年10月14日に、第25回WiLLを無事に終えることができました。今年のWiLLも、たくさんの方々のお力を借りながら、とても有意義な1日を過ごすことができました。

  前半1部では壇上に子どもたちの写真を飾り、24人の事件紹介をしました。一年に一度、このWiLLの場所で忘れられた子どもたちを思いながら、その思いをみんなで共有する時間を過ごすことができました。

  後半2部では、今年のテーマである「この苦しみはいつまで続くのか~矯正教育に被害者の声、反省を引き出す新制度に~」についてディスカッションを行いました。

  議論の中で、慶應義塾大学の太田達也先生は「なぜ加害者が損害賠償をしないのか?」という遺族の切実な問いに対して、丁寧に解説をしてくださいました。それは一つは「加害者に資力がないこと」、もう一つは「加害者に賠償意思がないこと」です。特に「賠償意思がないこと」の理由に国の施作が影響していることに、私は驚きを隠せませんでした。太田先生は「受刑者は懲役刑の中に賠償も込みで考えている。刑を受けることで贖罪の全てが終わるのだという発想がある。それは国の長年の施作の結果でもある」と教えてくださいました。その詳しい内容はYouTubeの動画を見てみてください。

  今回、矯正処遇の制度が変わり被害者から意見を聴取し、加害者の処遇に生かす制度が始まりました。これまでほとんど矯正の現場ではされてなかった、自分の犯した罪そのものに向き合わせ、被害弁償や謝罪の必要性について指導する取り組みです。

  これまでの矯正処遇は被害者に向けた視点が抜けていたこと、つまり今まで国が被害者に向ける視点が抜けていたことが大変残念ですが、それも少しづつですが、取り入れてもらえるように感じています。でもまだまだ改善されるべき点は残っていると思います。その意味でも私たち当事者が声をあげていかなければならないな、と改めて思ったWiLLでした。

  またWiLLでは会場アンケートを取っています。一つ紹介したいと思います。10代の女性からです。

「心が苦しくなるようなお話が多かったですが、誰の身にも起こり得る問題として真摯に受け止め、被害者の方やそのご家族、ご遺族がもっと救われる社会にしていかねばならないと思いました。」

  当日に来ていただいて、アンケートも書いていただいて、本当にありがとうございます。私たちの話は重たく、難しい話ばかりです。でもこの方も感じておられると思いますが、犯罪被害というのはある日突然、誰の身にも起こり得る問題だと思います。

  WiLLの中で私たちがその体験の話をすることで、少しでも世間の方々に興味を持っていただき、ひいては命の大切さを考えることにもなり、暴力を振るっては取り返しのつかないことになることを知ってもらいたいです。その先に私たちの会が目指す「これ以上、子どもたちを被害者にも加害者にもしない」ことにつながると思います。

  最後になりましたが、当日に参加してくださった皆様、そして参加はできなかったけど見守ってくださった皆様、本当にありがとうございました。ここに御礼申し上げます。

 

令和6年4月14日

少年犯罪被害当事者の会

代表 武るり子