第三次犯罪被害者等基本計画の見直しに関する要望・意見
令和元年8月29日
(要望・意見内容)
少年犯罪被害当事者の会代表の武るり子です。いつもお世話になっています。第三次犯罪被害者等基本計画の見直しに関する要望・意見について、送らせていただきます。法制審議会でいつも発言していることですが、改めてお伝えします。どうぞよろしくお願いします。
①損害賠償金を国が立て替え払いする制度の新設
私たち被害者遺族は、刑事事件では知り得なかった新たな事実を知りたい、さらに、加害者に反省の念をさらに促し、起こした罪の大きさを感じてもらいたいと、必死の思いで民事訴訟を提訴します。民事訴訟を起こすには、心労もお金もかかりますが、殺された子どもや家族の無念をなかったことにはしたくない、加害者に罪と向き合ってもらいたいという一心です。しかし現実的には、非常に大きな労苦で勝訴した場合であったとしても、加害者は、裁判中や裁判後に自己破産をし、自己破産はしなくても資力がないとして、支払わないケースが非常に多いです。少年犯罪被害当事者の会の会員約35家族の中でも、支払いを受けている遺族はわずか一握りで、支払っていても、月に数千円、それもすぐに途絶えてしまうという場合も少なくありません。現状では、加害者に支払せるためには、遺族が弁護士を雇うなどして、加害者に書面を送ったり、加害者の資産を探ししたりしなければならず、負担が大きすぎてほとんどの遺族はすることができません。
前提として、加害者から誠意ある謝罪を受けている遺族は皆無といっていいほどです。それに加えて、損害賠償金ですら、加害者が払いたくなければ逃げ得が成立してしまうのであれば、私たちの気持ちはどこに持って行けばいいのでしょう。いくら民事裁判であっても、判決を出しているのは国です。一人の人の命の「代償」を、国が、加害者に対し逃げてもいいんだよ、と許しているのと同様の現状が果たしていいのでしょうか。
私たち被害者遺族は、刑事事件では知り得なかった新たな事実を知りたい、さらに、加害者に反省の念をさらに促し、起こした罪の大きさを感じてもらいたいと、必死の思いで民事訴訟を提訴します。民事訴訟を起こすには、心労もお金もかかりますが、殺された子どもや家族の無念をなかったことにはしたくない、加害者に罪と向き合ってもらいたいという一心です。しかし現実的には、非常に大きな労苦で勝訴した場合であったとしても、加害者は、裁判中や裁判後に自己破産をし、自己破産はしなくても資力がないとして、支払わないケースが非常に多いです。少年犯罪被害当事者の会の会員約35家族の中でも、支払いを受けている遺族はわずか一握りで、支払っていても、月に数千円、それもすぐに途絶えてしまうという場合も少なくありません。現状では、加害者に支払せるためには、遺族が弁護士を雇うなどして、加害者に書面を送ったり、加害者の資産を探ししたりしなければならず、負担が大きすぎてほとんどの遺族はすることができません。
前提として、加害者から誠意ある謝罪を受けている遺族は皆無といっていいほどです。それに加えて、損害賠償金ですら、加害者が払いたくなければ逃げ得が成立してしまうのであれば、私たちの気持ちはどこに持って行けばいいのでしょう。いくら民事裁判であっても、判決を出しているのは国です。一人の人の命の「代償」を、国が、加害者に対し逃げてもいいんだよ、と許しているのと同様の現状が果たしていいのでしょうか。
私たち遺族は、大切な人を奪われ、悲しみの底にいます。加えて、加害者に反省の態度や言葉が見られないこと、損害賠償金が支払われないことでやりきれない、怒り、悲しみという言葉では言い表せない感情が生まれます。さらにいうと、加害者を矯正施設に入れているにも関わらず、加害者に対し悔恨の気持ちすら育てられない、賠償金を支払わなくても国として許す、という今の仕組みに、国に対する不信感すら生まれ、何重にも傷つけられています。
せめて、損害賠償金については、国が代償し、加害者に請求する仕組みをつくってほしい。税金の取り立てと同じ考え方で行えば、行政には、調査能力も強制力もあるはずです。加害者の資産を把握したり、取り立てたりすることを、被害者に求めるのはあまりに負担が大きすぎます。
よくご存じのことだとは思いますが、明石市の条例で立替支援金制度があります。金額は一部でも、私たちが望むの制度のヒントにはなります。誰もが被害者になりうる世の中に、加害者が少しでも犯した罪から逃げられない制度を望みます。
②被害者遺族の兄弟姉妹の支援の充実
殺されたこどものきょうだいについて、十分な支援があるとはいえない現状があります。親は、殺されたこどもへの悲しみや加害者への怒りに大きく心を裂かれます。きょうだいにも愛情を注いでいるつもりでも、きょうだいにとってもみれば、「殺されたこどもが一番でわたしは次」と結果的に思わせてしまっていることがあります。さみしさを与えてしまったことは、悲しみ、怒りの渦中の時には気付いてあげられず、後になり、それが不登校になったり、ひきこもりという形で現れることが、会員の家族に見られます。親が至らないのは本当に恥ずかしいことですが、それでも、わが子を殺されるという、計り知れない苦しみの中で、起きたことでもあります。
せめて、損害賠償金については、国が代償し、加害者に請求する仕組みをつくってほしい。税金の取り立てと同じ考え方で行えば、行政には、調査能力も強制力もあるはずです。加害者の資産を把握したり、取り立てたりすることを、被害者に求めるのはあまりに負担が大きすぎます。
よくご存じのことだとは思いますが、明石市の条例で立替支援金制度があります。金額は一部でも、私たちが望むの制度のヒントにはなります。誰もが被害者になりうる世の中に、加害者が少しでも犯した罪から逃げられない制度を望みます。
②被害者遺族の兄弟姉妹の支援の充実
殺されたこどものきょうだいについて、十分な支援があるとはいえない現状があります。親は、殺されたこどもへの悲しみや加害者への怒りに大きく心を裂かれます。きょうだいにも愛情を注いでいるつもりでも、きょうだいにとってもみれば、「殺されたこどもが一番でわたしは次」と結果的に思わせてしまっていることがあります。さみしさを与えてしまったことは、悲しみ、怒りの渦中の時には気付いてあげられず、後になり、それが不登校になったり、ひきこもりという形で現れることが、会員の家族に見られます。親が至らないのは本当に恥ずかしいことですが、それでも、わが子を殺されるという、計り知れない苦しみの中で、起きたことでもあります。
被害直後に、学校に通っているきょうだいのカウンセリングやケアの充実をしていただくとともに、不登校になった場合は、家庭教師や教員の派遣が必要です。不登校になった場合、学力が追い付かなくなり、外に出る力が戻ってきたときに、どこにも行く場所がないという状態になるのが親としては心配です。また、家庭教師や教員は、親に言えないことでも、子どもが本音を話せ、ストレスをはき出せる存在にもなりえる可能性があります。被害にあっているのは、親だけではない。若年であればあるほど、言葉にはできないですが、きょうだいも大きな被害者なのです。その存在にも、親が至らないからこそ、目を向けていただきたいです。
要望は大きく2点です。
最後に、加害者の矯正教育についても、十分考えていただきたいと思っています。全てといっていいほどの遺族が、誠意ある謝罪を受けていないです。少年院や少年刑務所、刑務所で、どんな教育を受けているのでしょうか。少年事件では特に、少年の生育歴の問題が取りざたされます。もちろん、それもよく分かります。だからこそ、矯正教育の間の教育が大切になのだと思っていますが、被害者の立場からすると、謝罪も、賠償金の支払いもない現状では、「国の教育はちゃんとなされているのだろうか」と疑問に感じざるを得ません。現場の方々は誠心誠意されているとは思いますが、根本をもう一度、考えてほしいと思っています。
もし、加害者への働きかけが困難なことだとしても、損害賠償金の立て替え払いや、きょうだいへの支援は、国の判断でできることだと確信しています。だれもが、被害者になる可能性があり、誰もが被害者にならないためにも、どうか、ご検討をお願いします。
少年犯罪被害当事者の会代表 武るり子