お礼
令和2年10月10日に、第22回WiLLを無事に終えることが出来ました。今年のWiLLは新型コロナウイルスの影響で、オンラインでのライブ配信という、いつもとは違う形での開催となりました。今年もたくさんの方々のお力を借りながら、とても有意義な一日を過ごすことができました。
当初、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、WiLLは中止の方向で検討していました。しかし、WiLLスタッフのみんなの「できることをやりましょう」という声に後押しされ、何とか開催する運びとなりました。改めて、WiLLは私たち遺族だけでなく、周りの人たちの力で支えられていることを感じることができました。
まず一部では、壇上に子供たちの写真を飾り、23人の事件紹介をしました。一年に一度、「WiLL」の場所で忘れられた子どもたちのことを思いながら、その思いをみんなで共有する時間を過ごすことができました。
そして二部では、今年のテーマである『罪を犯した時だけ、なぜこどもなのですか~改正民法との矛盾と、矯正教育を問う~』についてディスカッションを行ないました。
先の民法改正で2022年4月1日から成人の年齢は20歳から18歳に引き下げられます。それに伴い、少年法の年齢を引き下げるかという大きな議題が3年半にわたり法制審議会で議論がされてきました。その取りまとめ案では少年法では現状通り、年齢は引き下げないという結論に至りました。
私たちは民法改正に伴い、少年法も18歳以上は大人として扱ってほしいと訴えてきただけに、この結論を残念に思います。経験上、私たちの子どもたちの事件で、その加害者たちは少年法のことを事件前から知っていました。罪を犯しても軽く済むとか、少年法で守られているとか。
彼ら加害者は、少年法の年齢とそのあとの処遇を知っているから、罪の意識が軽い、歯止めがかからない、という印象を持ちます。ですから、少年法もしっかりと改正されて、18歳からは成人と同じ処分を受けるんだよ、ということが世間に広まれば、少年犯罪の抑止力になると思っています。
私たちは、会を作り、こうして23年の間、話をし続けてきました。しかし当初は、私たち当事者だけが声を上げたとしても、被害者だから、被害者感情ではないか、などいろいろなことを言われてしまい、傷つくこともありました。そこで私たちが気づかされたことは、世間一般の人たちの声=世論が大切だということだったのです。
「大切な子どもの命を奪われたのに、なぜ遺族に加害者の名前を教えてもらえないのですか?」から始まり、今回のテーマ「罪を犯した時だけ、なぜ子どもなのですか」まで、一つひとつを考えてもらいたいと思い、皆さんに、話を聞いてください、そして、一緒に考えてくださいと、話をし続けてきたのです。私たちが声を上げ、そしてそれを世論が後押しをして下さったときに、初めて制度、法律が変わるのだと思っています。
私たちは、ただ普通のこと、人として大事なことが守られていないということを言っているだけなのです。大人になると権利はいろいろ増えていくのに、罪を犯したとき、約束をしたにも関わらず、謝罪をしない、賠償責任から逃げるという義務を果たさない現状があります。今後、加害者が人として社会で生きていくためには、約束を守ること責任を果たすことの大切さをしっかり教育しなければいけないはずです。
今回、初めてWiLLを見てくださった皆さん、今までもずっと応援をしてくださっている皆さん、一緒に考えてほしいのです。少年犯罪の被害に遭った人たちが背負う苦しみが、少しでもなくなるために、どうぞ一緒に考えてください。私たちは、これからもあせらずおごらずに頑張っていきたいと思います。これから先、そんな私たちも間違ったことを言うことがあるかもしれないです。そんな時には、それはおかしいのではないですかということを、どうぞ教えて欲しいです。
それは、私たち被害者もなんでもありになってはいけないのです。私たちも人として前を見てしっかり堂々と生きていくことが大切だと思っているからです。
「これ以上、子どもたちを被害者にも加害者にもしない」これが私たちの会が目指すものです。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、今年はじめてオンラインでのライブ放送をすることができました。21回続けてきたWiLLを今年も開催することができました。そして22年という時を刻みます。
これまで支えてくださった皆様、そして見守って下さった皆様、ライブ放送やアーカイブ放送を視聴してくださいましたすべての皆様に厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
令和2年11月
少年犯罪被害当事者の会
代表 武 るり子